2021年11月4日木曜日

子の引き渡しに関するご相談

  弊所では、夫婦関係が悪化した結果、子供を連れ去られて別居されてしまった等の相談が多くあります。

 そこで、今回は子の監護者指定の調停(調停とは、あくまで調停委員という第三者を含めたお話合いです。)・審判(審判は、訴訟に似た手続です。)、子の引渡しの調停・審判及びこれらに関する保全処分についてご説明いたします。

 そもそも、監護者とは、親権の一部である監護権を有する者と定義されており、子供と一緒に生活をして、お世話をする人を指します。子供を連れ去られて別居されてしまった場合で、子供を連れ戻したい場合は、上述のとおり、監護者指定の審判・子の引渡しの審判を申し立てる必要があります(緊急性がある場合は、保全処分の申立ても行います)。

 監護者指定の調停とは、父親もしくは母親のいずれが子供の監護者として適格であるかを家庭裁判所において調停委員という第三者を含めて話し合って決める手続きです。一方、監護者指定の審判は、家庭裁判所が双方の主張等を踏まえて裁判官が判断する手続です。通常であれば離婚の際に、親権者を決めることになりますが、親権等で揉めて離婚問題が解決するまでに時間がかかることが多いので、別居期間中の監護者を決めるために申し立てられることが多いです。

 なお、調停は、話合いがベースの手続のため、子を連れ戻すまでの期間が長期化してしまうこともありますので、調停を経ないで審判を申し立てることがほとんどです(事案によっては、審判を申し立てても調停に付されることもあります)。

 監護者指定の審判では、双方が自らの言い分を書面として提出したうえで、今までの監護状況や今後の監護計画等を主張立証していくこととなります(これを、陳述書といいます。)。また、家庭裁判所調査官という方が当事者や子ども等に面接をして、争いの原因や監護状況、子どもの意向等を調査し、最善と考える解決方法を検討し、裁判官に報告します。

 これらの資料等を踏まえて、裁判官が、どちらが監護者にふさわしいかを判断することとなります。子の引渡しの審判も同時に申し立てていた場合、別居親が監護者に適すると判断されれば、子どもを引き渡すよう命じてくれることとなります。

 上記の監護者指定の審判等は数カ月かかるため、子どもに差し迫った危険等がある場合は、保全処分の申立てをすることで、審判による紛争解決より前に仮の監護者を指定してもらい、子どもを仮に引き渡すように命じてもらえる可能性もありますので、併せて申立てをしておくべきです。

 私の経験からすると、子どもが連れ去られてから時間が経過すればするほど、連れ去られた後の子どもの監護実績や環境が整ってしまいますので、できる限り早く上記の申立てをすべきです。

 弊所は、監護者指定だけでなく、離婚、離婚に関連する諸問題に精通した弁護士が多数所属しておりますので、少しでもお悩みの方は是非一度ご相談にいらしてください。一緒に考え、解決していきましょう。

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