2021年6月17日木曜日

就業中の社用車での事故につき,会社から損害賠償を請求された事例

  就業中に社用車で事故を起こしてしまい、退職を申し出た際に会社から「辞めるなら高額な損害賠償を請求する」「慰謝料を支払わないと辞めさせない」等と言われたため、退職ができないといった方からのご相談を多々お受けしております。

 私が担当した案件のご依頼者様は、お仕事の性質上、社用車の運転が不可欠な会社に勤務されていました。事故当日もご依頼者様は社用車を運転していましたが、交差点内で右折車と衝突する交通事故を起こしてしまいました。事故の態様としては、通常起こりうるものでしたが、ご依頼者様は、合計数百万円を退職の際に支払うよう会社から請求されました。

 その後、ご依頼者様は、裁判手続を通じて会社から請求されたが、とても支払えないため困っているとのことでご相談いただきました。

 会社が、従業員に対して、業務上発生した損害を請求する場合、原則として損害の全額請求することができないという制限が判例上認められています。しかし、会社はその制限を知らず、ご依頼者様は損害の全額について賠償請求を受けました。

 裁判手続の当日、やはり会社は上記制限を考慮せず、損害の全額を請求してきましたが、類似判例等を調査し、過去の事例に比べて明らかに過大な請求であることや、そもそも上記制限を加えた判例の趣旨等を裁判所に対し、説得的に説明し、粘り強く交渉をした結果、1回の裁判手続で、当初の請求額の5分の1以下で和解が成立しました。

 会社からの不当な請求でお困りの労働者の方は多くいらっしゃると思いますが、弊所では上記のような事例に限らず労働問題に強い弁護士が在席しております。

 お勤めの会社から不当な金銭の支払いを請求されている方や、残業代の支払いを受けられない方、労働問題でお困りのことがございましたら是非、弊所の弁護士へお気軽にご相談ください。

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